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楽水庵ブログ 京都のスポーツ整体院 楽水庵のコンディショニングブログ: 2014年8月

重心の崩れも防いでくれる中臀筋

最近中臀筋はインナーマッスルだと確信するようになった。
また、その使い方によって重心の崩れを防いでくれる。

女性に多いのだが、足の外側に重心が載っている方。
極端にやると下の画像のようになる(実際これぐらいの方も見掛けるが・・・)。
後ろから見ていると、捻挫しないかハラハラするぐらいの人がいる。
まあ、外果の靭帯はあの状態ではかなり伸びているので、そのままの状態で生活されると足首がグラグラになる恐れがあります。
是非とも修正しましょう。
足のアーチが悪い(特に横)が人はテーピングで補正するべきです。

そして、もう一つの原因として今までは大腿部の内側の筋肉、内転筋が弱っているからと考えていましたが、最近は認識が変わりました。

内転筋はどちらかというとアウターマッスルなので、ずっと持続させる事が難しいのです。
というのは、アウターマッスルは瞬発的な動きが得意なのですが、ずっとその状態を維持させるの不得手です。

では、どこでと言うとお尻の横にある中臀筋(特に前部)とそれに繋がっている大腿筋膜張筋(ほとんど腱)です。
お尻の横、腸骨の辺りを軽く締めて下さい。
特に普段重心が外に載っている方は、重心が内に寄っていくのが判ると思います。

馬やセンタータンクのオートバイの場合、内腿を締めるように乗るのがセオリーですが、これも常に締めているとかなり辛い状況です。
中臀筋で軽く締めて、いざという時に内転筋で「ギュっ」と締めるのが疲れない載り方かも知れません。

中臀筋はまだまだ書きたい事がありますが、また改めて。

jyushin_soto.jpg



「出尻と反り腰」 youtube の補足

先日 youtube において「出尻(でっちり)」と「反り腰」の傾向と対策みたいなものをアップしました。

動画はこちらからどうぞ。

今回は、もう少しそれについて考えてみたいと思います。

その前に下の脊柱の図をご覧ください。
脊柱のアーチは普通「腰椎前湾・胸椎後湾・頸椎前湾」が理想のアーチです。
このアーチが崩れると頸椎ですと、所謂「ストレートネック」とかの症状が出ます。

ただ、ストレートネックの方は大体において整形外科で頸椎のみのレントゲン写真等で判断されてしまっている事が多く、また頸椎のアーチだけ改善すれば良いみたいなお考えの方が多いのですが、実は下のアーチから崩れているのがほとんどです。
ですから、腰のアーチから改善しなければストレートネックは良くなりません。
首の施術だけで良くなる事(一時的にはあったとしても)はないと思った方が良いでしょう。

さて、話は脊柱に戻って。
この中でつい見落としてしまいがちなのが「仙骨」のアーチ。
ご存知の方も多いとは思いますが、「仙骨」というのは産まれてきた時にはありません。
子供の頃は頸椎・胸椎・腰椎と同様「仙椎」なのです。
それが大人になる頃(高校時分と言われている)に一つの骨に癒着し、「仙骨」になります。
ですから、大人になっても一つの仙骨にならずに分離されている方もたまにおられるようです。

何故癒着し「仙骨」になるのか?
よく判りませんが、時期を考えると生殖できる年頃なので、特に女性の場合は子宮を守る(まあ男性も生殖器を守る)為に自然の摂理で一つの骨に癒着するのだとも考えられますね。

そして、大事なのは「仙骨」のアーチ。
見ていただくと後湾していますね。

という事は、上に書いたように、「腰椎前湾・胸椎後湾・頸椎前湾」だけでなく、下から「仙骨後湾・腰椎前湾・胸椎後湾・頸椎前湾」のアーチまで考えなければいけないのでしょう。

そう考えると、「出尻」と「反り腰」について説明しやすくなります。

まず「反り腰」から。
また下に下手な(^_^;)図を載せていますが、「反り腰」は左側ですね。
この場合は仙骨が前湾になります。
「仙骨前湾・腰椎前湾・胸椎後湾・頸椎前湾」状態です。

だから、この前湾している仙骨を後湾させなければ「反り腰」は改善されません。

そして、何故仙骨が前湾してしまうか?
youtube では腹横筋の事だけ説明しました。
確かに腹横筋が弱っていると腹式呼吸ができず下腹部が安定しません。
妊娠でお腹が大きくなっておられる方はこういう状態になって腰痛を起こされる方もおられます。

後、大腰筋や腸骨筋、所謂「腸腰筋」の機能低下も考えられます。
可能性としては、大臀筋の拘縮、つまり大臀筋が収縮したままで反り腰になるというのも考えられますが、大臀筋というのはアウターマッスルでいつまでも収縮してられませんし、まずその場合反り腰になるよりも猛烈な腰痛になると考えられます。可能性は低いでしょう。

加えて、今日来院された方で判ったのですが、下腿部の「ひらめ筋」、この機能が低下するとやはり反り腰になりやすいようです。
ひらめ筋は「抗重力筋」または「姿勢保持筋」とも呼ばれ、立位の場合常に働いています。

ともすれば膝が重心が前に行き過ぎるのをこのひらめ筋が働いて後ろに戻してくれるのですが、ひらめ筋の機能が低下すると膝が前に倒れてしまいます。
そうするとバランスを取る為に仙骨も前湾し、リンボーダンス(古いか・・・)のような体勢になってしまいます。
今日来られた方も、立っていると段々腰が反ってくるとの自覚があるとの事です。
若干「腹横筋」も弱いので、その強化と共に「ひらめ筋」も鍛えていただくと反り腰は解消されていく筈です。

次に、「出尻」です。
この場合仙骨は後湾していますが、その後湾の度合いが強過ぎる事から生じます。
少々の出尻は姿勢が良く見えますが、実は仙骨の後湾が強過ぎるので、一番上の頸椎が「後湾」にならないとバランスが取れない、頸椎前湾のまま正面を向くと地面(床)しか見えないので、自然正面を見ようとすると頸椎を後湾させなければなりません。
その癖が付いてしまうと、簡単に「ストレートネック」の出来上がりです。

ですから、ストレートネックの方のほとんどが出尻状態ですので、その原因である「仙骨の後湾し過ぎ」を修正しなければいけません。

この場合は案外簡単です。
こういう状態の方は中臀筋の機能が低下している事が非常に多く、中臀筋の収縮を良くすれば自然と仙骨は立ってきます。
次回あたりのブログで書くつもりですが、中臀筋は所謂「インナーマッスル」だと私は思っています。
だから、常に軽く収縮させておいても大丈夫なのです。
出尻を治したい方はお尻の横を軽く締めるつもりで立ってみて下さい。
かなり腰が立ってくる筈です。

sekicyu.jpgdejiri_sorigoshi.jpg

「競技の為のトレーニングはシンプルなものほど良い」

最近スポーツ関係の勉強会に行ったりして一番感じる事は、「競技以外の事をいろいろと選手にやらせ過ぎている」点です。

もちろん、いろんな体の使い方をマスターするのは良い事ですし、特にジュニアの場合は一つの競技に専念させず様々なスポーツを体験させ、大学ぐらいから専門にやってもらう方が、もっと上のレベルに行ける選手が育つ可能性があるでしょう。

ですが、人それぞれキャパシティというものがあります。
どんなスポーツでも上手くこなせる人もいれば、ある競技ではトップアスリートだが他の競技になるとビギナー以下の腕前なんて人もザラにいます。
といっても、そんな人が専門競技のスキルが低いのかというと、そんな事はありません。
その場合考えられるのは、その人の脳のイメージが専門以外の競技においては上手く機能していない、という事です。

そして、それは別に責められる筋合いのものではなく、本当に人それぞれですから、別に本職の競技に差し障りがなければそれで良いのではないでしょうか?
また本当にオールマイティの選手が、特定の競技で跳び抜けた成績を収められるか甚だ疑問です。

私は若い頃ボートを漕いでいましたが、私の入っていたクラブは全日本優勝・国体優勝・世界選手権出場された方達が結構おられたのですが、大概そういった方達はソフトボールとかをさせると滅茶苦茶下手糞でした。
しかし、今から考えても、その方達があるトレーニングをしてソフトボールが上手くなったからといってボートのパフォーマンスが更に上がる事はなかったでしょう。

時々、プロのアスリートのインタビューで、「他の事をやらせたら全然駄目ですよ」と言われる方がおられます。
謙遜ではなく、本当なんだと思っています。
また、テレビ番組でプロのアスリートが他の種目をやって上手くできないで芸人とかに笑われている場面とかありますが、大概そういった方達は非常な負けず嫌いなので、結構マジにやっておられると思いのですが、如何せん上手くいかないのです。

そんなものなんだと思います。
また、そういった方でも専門の競技に関しては敵性があり、またその競技に関するイメージが大脳でしっかり育まれていったのでそういうレベルにまで到達できたのでしょう。

ここで本題に入ります。
我々がアスリートをサポートする時に大事な事は何なんでしょうか?
自分の持っている理論の「押し売り」でしょうか?

ではなく、本当の意味での「サポート」だけで良いのです。
傷めている部位の傷める本当の原因を探って、ある筋機能が弱いのならその機能を回復させる最良の手立てをして、またその傷めている原因が体の使い方なら、そうならないように使い方の良いイメージをアドバイスする、それだけで良いのではないでしょうか?

なんでもそうですが、相手が消化不良を起こすほど与えてはいけません。
イメージの消化不良ほど始末に負えないものはありません。

なんでも「なせば成る」的発想は危険です。

アスリートにとって一番大事なのは、その競技において最高のパフォーマンスを収める事です。
それ以外の事、トレーニングとかはあくまでその為の「踏み台」にしか過ぎないのです。

特にイメージ的なものは、本当にその方の大脳で育む事のできる(俗にいう頭の良し悪しとは関係なく)キャパシティに依存しています。

本末転倒してしまうのは悲しい事です。






インナーマッスル、意識する筋肉・しない筋肉

前にもインナーマッスルに関する事を書きましたが、今回も引き続き考察してみたいと思います。

アウターマッスルはどちらかというと瞬発的な動きに使われ、インナーマッスルは持久的な動きに使われるというような事を書いてましたが、それに加えインナーマッスルでも意識して使う筋肉と無意識に使われる筋肉があると考えています。

例えば下腿部にあるひらめ筋ですが、これを普段意識して使う事はない筈です。
ひらめ筋は直立している際も使われていて、重心が前に行き過ぎないよう調整してくれています。
これはどちらかというと、大脳ではなく小脳から指令が出ているような気がしますね。

また、臀部のインナーマッスルである梨状筋も普段意識して使う筋肉ではありません。
「梨状筋をこう動かして」というイメージで体を動かす事はまずないでしょう。

もちろん、上に挙げた2つともエクササイズではしっかり動きを意識してやらないと効果はありませんが、それはそういうエクササイズをしている時だけであり、運動時等にこういう筋肉を意識してしまうと却って良い動きにならないと思います。

逆に、使うのを意識すると良いのが腸腰筋(大腰筋・腸骨筋)、中臀筋、肩甲挙筋、小円筋でしょうか。

また改めて書くつもりですが、この辺りを意識して使うと姿勢が良くなります。

「限界を超える事は良い事か?」

いろんなスポーツにおいて「限界まで追い込む」、「限界を超える」ような練習をする事が、更に上のレベルに到達する為に必要だと思われている節がありますが、如何なものかと思います。

まあ、天才的な方もおられるのでしょうが、私自身の体験から言うと、ビギナーの時はハッキリ言って右も左もわからない状態、そこで一つ一つ頭に動きをイメージしながら覚えさせていかなければマスターできません。

ですから、まず大脳でいろんなイメージングをして、試行錯誤を重ね、そして上手くいった時のイメージを重ねていく、別の処で書きましたが人間の身体の動かし方をマスターしていく為に、更に上達していく為にはオーバーダビング、イメージを重ね録りしていくしかないと感じます。

「本能で動く」という表現がありますが、果たしてそうでしょうか?
例え、陸上の短距離走でも果たして一流のランナーが本能で走っているのでしょうか?
違うと思います。もし、あの素晴らしい走りが「本能」から来ているものなら、我々の遠い先祖は皆素晴らしい走りをしていた筈です。
だけど、古代の方がそんなに走るのが早かったとも思えません。
マラソンや競歩においてもそうだと思います。
確かに昔の方は交通手段が自らの足だった事もあり、現代の我々よりは遥かに健脚でした。
だけど、やはり現代の一流ランナーの方が速いと思います。

それは、何故かと考えると、やはり競技の発達に伴い、フィジカル・メンタル両面でのトレーニング法の発達があると思います。
どういう動き方をするか、その為にはどういう筋肉をどう鍛え、どんなイメージを持って競技に臨めば良いか、そういう事を積み重ねてきたからこそ競技者のレベルが上がっていくのでしょう。

決して、本能の動きではないと思います。
限界に近づいた時、また限界を超えたと思われる時にも一流の方はフォームがビギナーに比べ乱れにくい。
それは何故か?と考えた時に、一流の方は良いイメージの積み重ねがビギナーよりも圧倒的に多いからでしょう。

「運動を司るのは小脳」と言えますが、どちらかと言えば大脳がイメージした動きを各運動器官(筋肉)に上手く指令を出すのが小脳だと思います。
ですから、小脳は「動きのコントローラー」であり、こう動こうという意思を持たすのは大脳でしょう。

本当に限界付近で大事になってくるのは、大脳皮質の奥に刻み込まれた「最初の頃の良いイメージ」ではないでしょうか?
だから、それがある選手とない選手では疲れてきた時の動きが大きく違ってくるのでしょう。

しかし、だからといって最初から限界を超すようなトレーニングをさせて、動きがばらばらになり良くないイメージが大脳に刻み込まれれば、その選手の成長は止まってしまい、というか、成長は後退するでしょう。

そして、パソコン等と違い、我々の脳は「前の方の動きが良かった、あの時のイメージを思い出せ」と言われても、ハッキリ言ってそんなものを正確に思いだせることはできません。
パソコンのアプリと違い、ver.1 ver.2 とかで記憶しておいて、ver.2 が調子が良くないから削除して、ver.1 でと言われても、そんな事はできっこないのです。
良い動きのイメージを思い出すというよりも、新たに良いイメージを「上書き」しなければならないのです。

ですから、学校のクラブなどで新人にいきなり多くの練習量を課すのは考えものです。
やはり、身体を動かしていくのは考えながら、この表現が何でしたら「感じながら」、つまり大脳が覚えながら身に付けていくものです。

ですから、特にビギナーにフォームが崩れるまでの練習量を課すべきではありません。
早く疲れる場合には、その選手はやはりまだイメージが良くなく身体の使い方に無理がある、つまり「力んでいる」状態でしょうj。
かといって、とことんやらせて力みが取れるかというと、たまたまそうできた選手は良いでしょうが、力んだまま頑張って故障してしまった選手には目も当てられません。
イメージが良くなれば、つまり良い練習をして良いイメージを「上書き」できた選手なら力みもないので、そうすぐに疲れないでしょう。

ただ、そこまで持っていくのには、指導する方に大変な「辛抱」が要ります。
例えば選手の頭が「消化不良」にならないように、一度にたくさんの事を要求しない。
教える側としては、できるだけいろんなことを教えるのが選手の為良かれと思っての事なのですが、やはり大抵の選手は一つ一つ頭の中で消化していかなければ動けないのです。
レビルが上がれば経験値があるので、一度にいろんな事を教えても大丈夫な場合がありますが、まだ競技を始めて日も浅い選手にそれをするとまず壊してしまいます。

だから、一番求められているのは指導者のレベルアップ、同選手に良い動きをイメージを植え付けられるかと、一度にたくさんの事を教えたいのだがそれを堪える「辛抱強さ」かも知れません。





内腹斜筋か大腰筋か・・・(^_^;)

股関節痛で通われている60代の女性。

最初は坐骨神経痛もあったが、それは治まっている。
若干梨状筋の機能はまだ良くないが、簡単な代替テープの貼り方や効果的なエクササイズもアドバイスしているので、この点に関しては大丈夫だと思われる。

今日来られた際に少し右鼠蹊部周辺の痛みを言われた。
また靴下を履く際に、左はすっと股関節・膝関節が屈曲し問題ないのだが、右は踵が寄ってこない、つまり股関節・膝関節の屈曲が良くないので履きにくい、との事。

先ず考えられるのが、縫工筋でこれはテストをしたら完全な陽性。
πテープを貼付した。

その次なのだが、うっかりしていて腹圧テストをし忘れていた。
なので、大腰筋か腸骨筋と考え、大腰筋の方が反応が良くなかったので大腰筋にアプローチ。
ところが、結果があまり出ない・・・・・

えっと思い、腹圧テストをすると右内腹斜筋が弱っているのが直ぐに判明。
テーピングをして内腹斜筋のテストをすると機能が回復して、靴下を履く動作もスッとできるようになった。

大腰筋と内腹斜筋は内外の差こそあるものの似たようなラインを走っている。
そして、どちらも股関節の動きに影響を与える事が多い。

今日はたまたま直ぐに気付いたからよかったものの、ちゃんとテストをしなければと反省m(__)m

アウターマッスルとインナーマッスル、それぞれの負荷の掛け方

最近思うのは、アウターマッスルとインナーマッスル、そのそれぞれのエクササイズにおける負荷の掛け方は同じで良いのだろうか、というものです。

アウターマッスルは瞬発的な動きを得意としますが、持久的な運動は苦手。
インナーマッスルはその逆で、持久的な動きは得意ですが、瞬発的な動きは苦手。

この場合は筋肉の質が赤とか白というのは考慮に入れておりません。
まあ、あれはどちらかというと先天性の要素が大きいようですが・・・

例え、その競技が持久的なものでも、使われるアウターマッスルは瞬間的な使われ方をする方が筋肉疲労を防げます。
どんな競技にしろ持久的な動きをするものは動きがエンドレスチェーンになっており、そのシーンそのシーンにおいて使われる筋肉は刻一刻と変わっていきます。
そして、どの競技でも肝心なのはインナーマッスル、大腰筋とかひらめ筋とかはジワーッとした使われ方をしても大丈夫ですが、大臀筋や大腿四頭筋のようなアウターマッスルで同じような事をすれば幾ら筋肉量が多くても直ぐに疲れてしまいます。

「姿勢保持筋」、もしくは「抗重力筋」という人間が直立二足歩行をするのに重要な筋肉があります。
これらの筋肉に定義も人によってマチマチですが、自分はアウターマッスルである大臀筋や大腿四頭筋は違うと思っています。

大臀筋ならインナーマッスルである中臀筋の方がまだ耐久力があるでしょう。
その代り、中臀筋は大臀筋に比べ瞬発的な力は弱い。

そういう観点から考えると、トレーニングでスポーツ障害を起こさないようにするには、アウターマッスルに対して持久的な負荷を掛けても効果が少ないだけで故障をする可能性は低いでしょうが、インナーマッスルに瞬発的な負荷を掛けるのは危険だと思います。

「インナーマッスルを鍛えて筋肥大」というのは考えない方が良いと思います。
陸上のスプリンターは一般より大腰筋が太いと言われています。
ただ、これも先天性のものがあり、元々大腰筋がそんなに太くない人が無理に筋肥大を求めても、特にインナーマッスルの場合ですと内部組織との干渉が起こり、腰痛その他の問題を引き起こる危険があります。
それよりは、大腰筋のスピード持久力を上げる、ような発想に切り替えて方が良いでしょう。

ですから、アウターマッスル1セット10回で3セットなら、インナーマッスルは50回で1セットだけ、まあこれはあくまで例ですが、そういうメニューの組み方もありだと思いますが、如何でしょうか?



「左足甲の感覚が薄い」、その原因は?

大阪から来られている男性。

左仙腸関節の痛みがあり、ご自身でもキネシオテープを色々と試されいるご様子。

仙腸関節の痛みだが、腸骨筋の機能低下があったがそれ意外に原因も見つかった。
内転筋の状態が悪いと仙腸関節に影響を与えるのは、自分自身も経験があるので知っていたが、同側の問題と認識していたのだが、この方の場合は反対側の右長内転筋が問題だった。
一度テーピングされたとの事だが、貼る方向が私が貼ったのと逆だったらしいので効果が出なかったのかも知れない。
とにかく、右長内転筋テープを貼るとかなり楽になられた。

後、右長趾伸筋(2-4趾を伸ばす筋肉)の状態が良くなかった。
そして、右足甲足趾の付け根付近周辺に皮膚感覚の薄いところがあった。
この場合、仙椎1番の神経障害が考えられるのでジェルフィッシュテープを貼付したが、感覚はあまり戻っていなかった。

何故に?

悩んだが、何回か両方とも足趾の屈曲・伸展を繰り返してもらうと左大腿直筋の動きが悪いのが判明。
そこで、大腿直筋テープを貼ると足の甲の感覚が正常になった。

もう少しで、「木を見て森を見ず」状態になるところだった。
やはり、問題のある個所だけを見ていると訳が判らなくなる事が多いが、少し離れた所を見ると案外答えやヒントを出してくれている。

それに気付けるかどうか、が一番の問題ですね。
今回も勉強させていただきました。

「膝関節の屈曲?」

最近、また自分のエクササイズでスクワットジャンプ(でいいのかな?)をやり出したので気が付いた事を書きます。

特にボート選手とかのトレーニングを見ていると、乗艇しての練習で膝の屈曲が大きいからかも知れませんが、陸上のトレーニングでは逆に膝を庇って膝関節の屈曲を小さくしたトレーニングをしている事が多いです。

しかし、これは膝を曲げる事に過剰に意識がいき、却って膝を故障する事になる危険性が高いと感じます。

スクワットジャンプで一番下まで屈み、腕も上まで振るように大きく全身を伸ばす跳び方をしてみます。

そうすると着地(つま先ではなく、踵からが理想だがショックが強いのなら足裏全体という意識)でまず足関節を安定させ、じゃあ次に膝関節の屈曲かと言えば、実はもう既に股関節の屈曲が始まっているのです。

股関節と膝関節を屈曲させているのは縫工筋という腸骨から脛骨まで繋がっている人間で一番長い筋肉です。
それに腸腰筋も加わって股関節の屈曲を深めていくので、何も膝関節の屈曲を意識する必要がないのです。

だから、逆に膝関節の屈曲に過剰に意識がいくと、膝関節を伸展させる筋肉(大腿四頭筋等)にブレーキを掛けるような事になってしまっているのではないでしょうか?

暴論かも知れませんが、膝を故障する原因の一つに膝関節を意識して曲げようとする(また屈曲度を調整しようとする)事があると思っています。
自然に任せれば良いと思うのです。

人間が出力を出す動作、例えば走るとか自転車を漕ぐ、ボートでのレッグドライブとかの動作は全て股関節伸展から膝関節伸展、水泳のバタフライやサッカーのキック等なら股関節屈曲から膝関節伸展ですが、どちらにしても膝関節は伸展します。
反対に膝関節を屈曲させる時はその為のスイングでいえばテイクバックみたいなものですから、それほど力は要りません。
というか、勝手に股関節を動かせば自動的に付いてくるものです。

上肢(腕)の場合ですと、肘関節の屈曲・伸展のどちらでも出力できますが、下肢の膝関節は伸展しない事には大きなパワーを出せません。
これが自然の摂理だと思います。
自然の摂理に逆らわずに身体を動かしていれば故障は少なくなるのではないでしょうか?

ですから、冒頭のスクワットジャンプの場合ですと、下に屈む時のイメージは足関節の屈曲(背屈)→股関節の屈曲で、跳び上がる時は股関節の伸展→膝関節の伸展→足関節の伸展(底屈)です。
これをしっかりやっていくと、股関節から動き出さないとちゃんと跳べないというのが身を持って判ると思います。

時期的に言えば、ボートのインカレまで後少し。
こういうエクササイズでも自分達の持っているパワーを有効に引き出す良いイメージトレーニングになると思うのですが。
ただ、ベクトル方向が鉛直上で負荷が強いので、回数は少なめに。
あくまでイメージを作り出す神経トレーニングのつもりでやれば良いと思います。
何でも「根性トレーニング」にしてしまうと元も子もありません。

ちょっと普段の院のブログからは少し逸脱したかもしれませんが、他の競技をされている方も参考になさってみて下さい。

休む勇気、休ませる度量

2日前の朝、起きた途端に右肩甲骨辺りがかなり傷みました。
まあ、寝違いのような症状。

職業柄何処が悪いか確認したら、どうも中僧帽筋。
また、間の悪い事に中僧帽筋って自分ではしっかりテーピングできない(T_T)

一応少し短めのテーピングした後は、急性期のセオリー通りに行動。

まず、患部を数時間おきにアイシング。
そして、食事の量をできるだけ少なく。
加えて、何時もやっている朝のエクササイズを中止。

これによって、一番新鮮な血液やリンパを求めている患部への流れを促した。
急性期に入浴や食事を大量に摂る、運動をするという行為は、
患部以外の処へも血液やリンパを流さなければいけないので、
治りが遅くなってしまう、もしくは悪化させてしまう恐れがある。

症状によるが、そういった処置をしていれば早ければ1日で良くなる。
完全には治っていないとしても、少なくとも炎症が悪化する事はない。

と書いていても、実はこの判断が自分自身今までなかなかできなかった。
これぐらいだったら体を動かしても大丈夫、
いや動かしている間に良くなるとか思って、腰痛とかを悪化させていた。

いつも違う痛みの場合、本当に早めの判断が回復を速めてくれます。

特に選手の皆さんは、1日でも休む事に対して精神的抵抗が強いと思う。
休んだらメニューが消化できない、
団体でやっている競技だと仲間に迷惑を掛ける、
という思いが脳裏をよぎるでしょう。

しかし、体力的な問題で言えば1日休んだところで大したパフォーマンスの低下にはなりません。
ところが、この症状をこじらせ回復までにかかる時間が長くなるほどに、
パフォーマンスは加速をつけて低下していきます。

「最良の判断は最悪の事態を避ける事」とも言います。

また、高校の野球部とかでは痛くとも痛いと言えない状況、
「そんな事を言うなら部を辞めてしまえ」という指導者もいるのも現実です。
私から言わせれば、「そんな事を言うお前こそ辞めてしまえ」なのですが・・・

そして、短期の離脱者が出てもそれを許容する精神的余裕、
それにそれを補う工夫ができるチームが最終的には強いと感じています。

逆にそれができないチーム、今それを想定して書いていますが、
そういう処はいつも大体決まったところで壁にぶち当たっています。

それだけ犠牲を払ってそんな成績というのは、
指導者の無能を物語っているのですが。


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