月別 アーカイブ

HOME > 楽水庵ブログ > アーカイブ > 過去のコラム: 2012年10月

楽水庵ブログ 過去のコラム: 2012年10月

胸骨の張りと首の張り

涼しくなってからお越しになった方々のほとんどが、首の前面にかなりの張りを持っていらっしゃいます。
何故なんだろうと思っていましたが、そういう方達も首周りだけではなく
胸、特に胸骨の辺りをほぐしてあげるとかなり首が楽になっています。

考えるに、急に気温が下がるとくしゃみや咳をする事が増え、
胸の筋肉に負担を掛けているからだと思います。
胸の筋肉は呼吸を補助している筋肉だからです。
咳風の時に塗る風邪薬などはまさにその理屈ですね。
そして、首前面の筋肉は鎖骨や第1肋骨に繋がっているのが多いので、
胸骨の動きが硬いと首の動きも悪くなります。

また、首前面の筋肉を傷めると、思いも寄らぬところ、たとえば二の腕とかに関連痛が出ます。
私もちょっと前に腕が痛くなったので、腕にテーピングしましたが、
なんか痛みが取れないので、もう一度調べたら首が原因でした。

そういう訳で、首前面に張りを感じておられる方は胸骨の上を
軽く手で摩ってあげても効果がありますので、一度試してください。

「何にもしてないのに?」

時々お見えになる方達の中で、「何にもしてないのに急に痛くなった」ということを言われる方がいますが、
果たしてそうでしょうか?

それに対する私の答えは、
「だって何にもしてないって事はないですよ、だって生きているじゃないですか」
「冬眠していた訳ではなく、毎日生活しているじゃないですか」です。

昔お世話になった針医者さんが「体に良い職業なんて一つもないですよ」と
言われた事があります。私もそう思います。
仕事だけではなく、何一つ体に多少ともダメージを与えない生活もない筈です。
そういう中で我々は生きていかなければなりません。

何か特段に傷めた記憶がないのに急に痛みが感じられたような場合は、
ほとんどが日常の動きの中で少しずつ弱ってきていた筋肉の機能が
飽和点に達したと考えて下さってもよろしいかと思います。
あらゆる筋機能をフルに働かすような生活を日常送っている人は稀です。
四十肩・五十肩などはその典型でしょう。
毎日肩の筋肉を使っている人は、肩を痛めても四十肩・五十肩にはなりにくいのです。

本人はまだまだ青信号だと思っていても、実は赤寸前の黄信号という事もかなりあります。
ラジオ体操のような全身運動だどでチェックして、早め早めに手当てしてください。

腰痛と腹筋の使い方

昨年自分が1ヶ月近く腰痛で苦しんだ時の自戒を込めて書きます。

よく腰痛防止には腹筋を鍛える事とあります。
確かに腹筋の筋機能低下は腰痛を引き起こしますが、
間違った腹筋への意識がより腰痛を悪化させる事もあります。

腹筋は表面から腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋という構造になっていて、
よく「腹圧を掛けろ」と言われるのは実は奥にある腹横筋を意識する事なのです。

腹横筋を活性化させるには、俗に「丹田(たんでん)」と呼ばれる下腹部に圧を掛ける事なのです。
具体的に言えば息を吸う時も吐く時も下腹部を膨らませます。
「下腹に力を入れろ」という表現をお聞きになったかと思いますが、こういう意味です。
決してお腹全体を固くする事ではありません。

お腹全体を固くする、特に腹直筋を常に固くすればどういう事が起きるか?
背中の筋肉を収縮しようとするのにブレーキが掛かった状態になります。
この状態でなお背中の筋肉を収縮すればただでさえ弱っている
背中の筋肉に余計負担が掛かりますので、腰痛はなお悪化します。

また、腹直筋を常に固くしていると大腰筋などのインナーマッスルが働きませんので、
ランナーだとストライドが伸びないなどの弊害も起きます。
その前に非常に動きがぎこちなく、ロボットのような感じになってしまいます。

なんか動きがぎこちないなと感じたら、お腹に力が入りすぎていないかチェックしてみてください。
現時点で腰痛の方は、少し勇気が要りますが下腹だけ張るように意識してみて下さい。
きっと良い効果をもたらせてくれる筈です。

水分摂取と筋膜の動き

この間ラグビーをしている高校生が治療に来ました。
彼を治療している際に皮膚の動きが悪い事に気付き、確認したらやはり水分摂取が少ないとの事でした。

筋肉は単体では動く事ができず、動かそうとするとまず皮膚が動いてくれくれなければなりません。
皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3つで構成されていて、
特に筋肉を動かそうとすると皮下組織にある筋膜(浅筋膜)の動きが大事になってきます。
皮下脂肪というのもこの皮下組織の中に含まれています。

筋膜の厚みがあるほど、隣り合う筋肉同士が擦れあったりする事がなく、
スムーズな動きができるし、敏捷なのです。

太っているからといって素早い動きができないという訳でもないのです。
力士は皮下脂肪はありますが、内臓脂肪はほとんどありません。
特にぶつかり合いや転倒などが当たり前のスポーツにおいては
皮下組織の厚さは体を守るプロテクターになってくれます。
ただ、重さがあるので持久的な運動はちょっと苦手ですが・・・・・

今の(特に女性の)風潮では脂肪というと悪役みたいですが、脂肪には脂肪の役割がきちんとあり、
なければ我々は生きていく事ができません。
少し脱線しますが、悪者扱いされているCO2がなければ生物が生きられないのと同じです。

また、年を重ねる毎に体内の水分率は少なくなっていきます。
子供が大人よりも元気に動き回る事ができるのも
皮下組織の水分率が高いから筋肉同士が擦れあったりする事が少ないので、痛みや疲れが出にくいのです。

ラグビーをやっている彼は、バックスという事もあり
あまり太りたくないでしょうから、普段からこまめに水分摂取をするようアドバイスしました。
ダイエットに励んでおられる方も、ダイエット中は水分摂取を多めにとアドバイスされると思いますが、
そういう理由もありますので心がけていただくようお願いします。
決して、「明日のジョー」の力石のような真似はしないで下さいね。
と言ってもネタが古いので何の事か判らない方もいるかも知れませんが(笑)

膝内側の痛み

太腿の内側下部から膝の内側にかけて痛みを感じる方は多いと思います。
そしてそのほとんどの方が内側広筋と呼ばれる筋肉を傷めておられます。

何度も何度も書いて恐縮ですが、外よりの重心で立っていると、
下肢内側の筋肉は常に引っ張られて伸びっぱなしになり収縮する事ができません。
特に内転筋が伸びっぱなしになると、それと繋がっている内側広筋も伸ばされる結果になります。

つまり、外側は過緊張・内側は過進展という状態なのです。
この状態が続くとO脚・ガニ股になっていき、
状態がもっと悪化すれば変形性膝関節症になる可能性が高くなります。
変形性膝関節症は骨の病気という認識がおありかも知れませんが、
そのほとんどは筋肉のバランスが大幅に崩れ、骨が引っ張られた結果なのです。

これを防ぐには、内転筋をグッと締めて立ち、内側に重心を移すのを
心掛けてください。最初はしんどいかも知れませんが、
これが膝の内側の痛みを軽減し、
なおかつO脚も改善してくれます。
O脚が改善されると大腿骨が垂直方向へ向きが変わるので、
同じ骨の長さでも脚長になりますので、それを励みに頑張ってください。

どうしても内側で立てない方は足底にテーピングをすると容易に立てるようになります。

一生の財産

このコラムを最初から読んでくださっている方はご存知の通り、
別に治療家をやっているからといって痛みと無縁ではありません。
皆さんと同様あっちこっち痛い所が出てきます(^_^;)

ただ、勉強した事と臨床で培った事のお陰で、
この痛みは何が原因というのを特定でき、
テーピング等で痛みを小さいうちに解消する事がほぼできるようになり(全部ではありませんが)、
日々の仕事・生活に支障をきたす事は無くなりつつあります。

これは私のように一人治療院をやっている者にとっては
非常に大切で、本当にありがたい事です。

今朝も起きてみたら右腰が前屈すると痛かったので、
最初は中臀筋を疑いましたが、どうも違う・・・・
簡単にテストしてみて右広背筋の反応が悪いのが判ったので、
早速キネシオテープを貼ったら即解消しました(^_^.)

ここで面白いのは、痛みを感じた箇所にテーピングしなくても効果があるという事です。
実際、腋から背中中央にかけて貼りましたが、
腰までの長さは貼っていません。
それでも、その筋肉の機能が回復すれば痛みはなくなるのです。
シップを貼っても全然良くならない事が多いのは、
痛みを感じている場所の炎症を抑えているだけだからです。

確かに痛い箇所は炎症や腫れを起こしている事が多いのですが、
それを起こしている筋肉等の機能を回復してやる事をせずにいると
痛みもなかなか引かないものなのです。

最近では膝に水が溜まっても無理に抜く事はなくなっていますが、
実は水と言っているのはリンパ液で、膝のどこかに炎症が起こっているので、
冷やす為リンパ液が集まってくるのです。
その場合の解決策は2つで、まず冷やす為に集まってきたリンパ液を
そのまま滞留させておくと逆に熱を帯びてしまうので素早く流してしまう事と、
元々の炎症の原因をなくす事です。

今51歳で、あと何年生きられるかは文字通り神のみぞ知るですが、
一生付き合わなければいけない自分の体、
その手入れの仕方を学べた事は、本当に一生の財産だと深く感じます。

1

« 過去のコラム: 2012年9月 | メインページ | アーカイブ | 過去のコラム: 2012年11月 »

このページのトップへ