月別 アーカイブ

HOME > 楽水庵ブログ > アーカイブ > 京都のスポーツ整体院 楽水庵のコンディショニングブログ: 2017年4月

楽水庵ブログ 京都のスポーツ整体院 楽水庵のコンディショニングブログ: 2017年4月

「全日本の決勝で漕いでいるつもりで」

こんにちは、楽水庵です。

これから書く事は私ごときの漕歴では本当恐縮然りなんですが・・・

先日中日本レガッタでブースを出していた時の事。
どこの高校かは覚えておりませんが、足底を攣った男子がやってきてその子の仲間達と攣らない為のエクササイズをアドバイスしていました。
そんな中、向こうが「回数は?」と聞いてきました。
最近C2サーキット等ボート選手の間では筋持久力のトレーニングが盛んで、彼らもそう考えて聞いてきたんでしょう

しかし、私は彼らがそのエクササイズをできる回数なんて、まずやってみないと判らないと思っています。
それを最初から「回数、回数」と聞くので、思わず「ホンマ、ボートの連中は回数、回数ってアホばっかりや」って言ってしまいました。
もちろんそんな発言を私がしたので、彼らは怪訝な顔をしていました。
その前に私が昔ボートを漕いでいたなんて彼らは知っていませんでしたし。

そこで、実は全日本のクオドルプルで優勝した過去がある事、全日本の決勝には2回出てそのどちらもありがたい事にメダルをもらえた事を話しました。
彼らもテーピングブースにそんなおっさんがいるなんて思ってもいなかったのでしょう、ビックリしてました。

そして彼らに、
「全日本の決勝って良いよね、日本最高峰のレースの決勝やもん。なんか失敗したらなんて思う事もないし。ただひたすら『やってやろう』と思うだけ。君らもこれから出るレースを全日本の決勝と思って漕いだらいいやん。」って言いました。

思えば確かに全日本の決勝で漕げた事はやはり幸せでした。
そして、おそらくですがアドレナリンだけではなく「ドーパミン」も出ていたのではないかなと感じます。
その幸福感が動きを良くしていたのでしょう。

予選とかでは結構チョンボしていましたが、決勝では自分なりに最高のパフォーマンスを出せていましたから。

故古川 宗寿氏(アトランタ五輪監督)とは結構一緒に漕いでいましたが、大抵レース中やゴール後に怒られてばっかりだったと記憶しています。
しかし、全日本でクオドでゴール後に古川氏が私の肩を叩き、「よくやった!」と握手を求めてきてくれました。
今思えばあれが私のボート人生で最高の瞬間だったのでしょうね。

もう一つあったとしたら、81年の京都レガッタで生まれて初めてエイトに乗り(7番)、東レに逆転で勝った時でしょうか。
前半リードされていてたのですが、後半まさに「飛んでいる」という気分になって漕ぎました。
今と違い、木のオール・艇でエイトで1,000m3分を切れれば上等という時代に、若干追い風でしたが(それも当日瀬田RCと浜寺RCが初めて組んで)2分57秒9でゴールしたのです(ちなみに東レは2分59秒)。
その後の宴会ではもう何が何だか判らなくなりましたね(笑)

余談でしたm(__)m

まあ、先の高校生達の話に戻って、もう一つクルーは、特に4人漕ぎぐらいだと一番弱い選手のレベルになるという話をしました。
自分がそれで苦い思い出があるからです。
80年春先に瀬田RCで付フォアに乗っていました。
私が漕いでいる時は朝日レガッタや中日本レガッタで決勝進出がやっとのクルーが、国体の登録の事もあり私と長谷(信行)さんが乗り代わったら国体優勝です。
如何に自分のレベルが低かったのか思い知らされました。

だから、その足底をよく攣る子に少し酷でしたが、「君が足を攣って他の仲間に迷惑を掛けたらイカンだろう。だからしっかり教えたエクササイズをやるんやで」と言ったら、彼が「はい!」と大きな声で返事して心なしか目が潤んでいました。
仲間の子達も良い話を聞けたみたいな感じで非常に礼儀正しいお礼をしてくれるので、逆にこちらが面喰ってしまいました。

こちらに戻ってきて、ソフトテニスをしていて子供達に指導もしている20代男性に「全日本の決勝のつもりで・・・」の下りの話をした時の高校生達の反応を話しました。
私 「あんまり大した話でもないんやけどな~」
彼 「いや、聞いていて心に沁みましたよ。今度僕も使わせてもらいます。」

え、やっぱり良い話やったんか!
まあ、こんな事を書いて「お前ごときが何を偉そうに言っている」とお笑いになられる皆様もおられるでしょう。
そして、この「全日本の決勝のつもり」という心掛けを、ハッキリ言ってその後の私人生で活かせているかというと決してそんな事はありませんでした。

しかし、彼らに話していて自覚しましたが、自分も残りの人生をこういう心構えで生きていこうと思います。
「人生残りの20年を素敵に生きる」事を目標にした自分にとっては、非常に大事な事でしょう。
やはり「教える事とは同時に教わる事」ですね。

楽水庵














「エルゴ依存症?」ヘルニア予防の為にも古典的なトレーニングも

こんにちは、楽水庵です。

この話はボートで使われる「エルゴメーター」についてのものです。
エルゴメーターとは、下の画像のような機械で実際ボートを漕いでいる感覚に近い運動ができ、これの世界大会もあるぐらいです。
ergo.jpg

これを使って2,000mを漕いだ(と想定される)タイムを競う「マシンローイング大会」には登録選手は必ず参加しなければいけません。

さて、先週中日本レガッタにテーピングサービスを行った際の事です。
初日の夕方遅くブースを設置している艇庫で休んでいたら、「すみません、あのエルゴ使ってもいいんでしょうか?」とある男子高校生が尋ねてきました。

シマノさんがブースに置いていたデモ用のエルゴの事で、あれはストレッチャーがSRDなので専用シューズがなければ漕げません。
シューズはシマノさんが車に積んで宿舎に戻ったので、偶然SRD用シューズを手元に持っていたらまあ漕げますが・・・

 

というより、やはり他人様のものを勝手に使わす訳にはいかないので、「あれは他人の物だよ」と言ったら納得して帰ったみたいでした。

中日本レガッタの場合、高校生のレースは2日目からなので、多分その高校生は予選前にかなり不安に駆られていたのではないでしょうか。
気持ちは判ります、ちょっとでもエルゴを漕いで安心したいのでしょう。
また現在のエルゴは分割もでき非常にコンパクトです。
全国高校選抜の際などは、出場しているほとんどの高校がエルゴメーターを持参しています。

ただ、今の選手達に考えてもらいたいのは、我々のような昔漕いでいた者達がレース前にエルゴを漕いでいたか、という点です。
そんなものはありません。
せいぜい「バック台」と呼ばれるスライドシートが付いているもので、それでやっていた程度です。
これはトレーニングというよりも、バック台を並列に並べ長い棒を一緒に持ってローイングのタイミングを合わせる為に使われていました。

エルゴメーターも現在のようなコンパクトの物ではなく、スィープ用の恐ろしく大きな代物で、それも私の18歳当時滋賀県には東レと琵琶湖漕艇場の2箇所に1台ずつしかありませんでした。
それも、ワイヤー方式で頻繁にワイヤーを弛み巻き直さなければいけませんでした。

だから、我々の世代以前はレース前にエルゴを漕ぐなんて事は望んでもできなかったのです。
その点今の時代の選手達は恵まれているかも知れません。

ただ、エルゴがなかったからといって我々の時代の選手達がレースでのパフォーマンスが悪かったかといえば、決してそんな事はなかった。
艇やオールの材質やデザインが大きく変わったのでタイム等で比較できなくなりましたが、我々の時代の達人達の漕ぎは芸術品でした。
今のトップの選手達よりも漕ぎ自体は上手かったと思います。

あまりにもエルゴが身近な存在になったので、所謂「エルゴ依存症」に陥っているのではと感じてしまいます。

では、エルゴのなかった時代我々はどんなトレーニングや練習をしていたのでしょう?
「バック台」もありましたが、単独ではあまりトレーニングにならなかったのは事実です。
それよりも「ディーリング」というものをよくやっていました。
ちょっと旧い動画ですが、以前撮ったものがあります。

所謂ウエイトリフティングの「ハイプル」に近いもので、それよりも股関節や膝関節の屈曲が大きいのが特徴です。
今「C2サーキット」としてボート選手がやるように指導されているサーキットトレーニングの中にもハイプルが入っていましたが、これを自重だけで150本とか高校時分やっていました。
おそらくあの年代のボート選手はほとんどやっていたのではないでしょうか。

これをやる事によって、ボートとは「ウエイトリフティング」を鉛直方向ではなく水平方向にするものだと身体で覚えていったのだと感じます。
ウエイトリフティングの基本は「スクワット」、大殿筋という大きな筋肉を使ってドライブを始動するというのを判っていったのです。

下手な図ですが書いてみました。

squat_zukai.jpg

これを特に初心者はエルゴでは実感できないのです。
また、「スクワットをやっているから必要ないんじゃ」と思われる方もおられると思いますが、私の見ている限りボート選手のスクワットは好い加減なものが多い。
ウエイトリフティング競技のスクワットのようにしっかりしゃがんでおらずハーフ気味なものがほとんどです。
ハーフからだと前の大腿四頭筋で挙げられます。
だから、体感できないのです。

では、何故大腿四頭筋で始動すると腰を傷めるのでしょう?
図に書いたように先に大腿四頭筋から始動すると、ドライブ後半で所謂「バックを取る」為に大殿筋を使わなければいけません。
ただでさえ膝を先に伸ばした為に上体が前に行こうとしている分も後で大臀筋や脊柱起立筋で補わなければいけないのです。
また、ドライブの始動で大臀筋を使うのは「腸腰筋」の筋反射を使える点でも理に適っています。
やはり長時間同じ動作をするには上手く筋反射も使えなければいけません。

そういう事がしっかりできないとやはり腰に負担が掛かり、特に腰椎4-5番間の椎間板を傷めてしまいます。

また、エルゴメーターはカラオケの採点機みたいに「あなたの身体の使い方は間違っていますよ」とは教えてくれません。
どんな体の使い方をしてもパワー・心肺能力のある選手ならそこそこのスコアは出せます。
「スコアが出せる新人が入ってきた!」と喜んでいたら、後にヘルニアになって漕げなくなったという事態になったチームはありませんか?
最初に正しい身体の使い方を教えてあげていないからです。
別にボートをやっていなくても他の競技とかをやっていた人なら結構スコアは出せます。
最近野球選手のトレーニングでエルゴメーターが盛んに取り入れられていますが、500m程度ならボート選手のスコアを出すのはざらです。
しかし、ボート選手のようにその動きをずっとやっていると、適性な身体の使い方をしていないと腰を傷めるでしょう。

ある大学のボート選手が今うちに通っています。
入部3ヶ月で腰を傷め、漕ぐのを諦めマネージャーに転向しようと考えていたようですがもう一度漕手として復帰を目指して着々とトレーニングを重ねています。
彼のケースも確認してみたら、やはりドライブの始動が大殿筋ではなく大腿四頭筋でした。
それを大殿筋で始動するようにアドバイスしたら、エルゴではだいぶできるようになったが実際の乗艇ではスキル不足の為にまだしっかりできないとの事です。
こういう点がしっかり修正できるようになったら彼は良い漕手になってくれるでしょう。

新入部員にエルゴを漕がせるのが絶対にダメとは言うつもりはありません。
ただ、こういう点にも十分留意していただき、折角ボートをやろうと入ってきてくれた子達を大事に育ててほしいと思います。

*ここからは敢えて書きます、風当たりも強いでしょうが・・・
もちろん、上に書いた事でも例外的な選手もいます。
今や日本ボート界のレジェンドになっている選手もそうです(こうとしか現時点では書けませんね、私も立場があるので)
彼の実績等は誰も批判できない素晴らしいものです。
しかし、彼の漕ぎ方は彼の身体の特性とかを生かした一種の「芸術品」ですから一般的な選手は真似できません。
真似すると途端に故障するでしょう。
また、彼自身も腰や膝の故障で悩まされているのはボート界の方達ならご存知でしょうから。

楽水庵











 


中高でハードな部活をしている(していた)女子に多い症状

こんにちは、楽水庵です。

先週「中日本レガッタ」に行った際の事です。
他でも書いていますが、今年は名古屋大が補助員の当番だった為に昨年みたいにコンディショニングを含めて沢山訪ねてくるという事はありませんでした。

ただ、4回生の女子が「腰が痛い」と来ました。
チェックをしていると、高校生の女子でも多く見受けられるS2-3間の椎間板が詰まっていました。
Sというのは、仙椎から出ている神経です。

senkotu2.jpg

この画像の中央にある仙骨の上から数えて3つ目の穴(仙骨孔)から出ている神経がS3神経で、真ん中に見える突起が椎間板の名残です

高校生ぐらいから癒合して「仙骨」という一つの骨になりますが、元々は頚椎・胸椎・腰椎のように一つ一つの椎体なのです。
まあ、何故「仙骨」ができるのかと考えると、私は「子宮」を守る為と思いますね。
仙骨の前面には「子宮」があるので恐らくそうでしょう。
何故男性でも仙骨ができるのかと考えると、元々女性の形から染色体の関係で男性になっていくのを考えると(胎児時代に)女性だった名残なのかも?
仙骨が形成される時期は、出産に適した時期と合致するからそう考えても不思議ではないでしょうね。

まあ、余計な詮索は置いておいて(^_^;)
上の名古屋大の女子も中高とソフトテニスをハードにやっていたそうです。
うちに来ているラクロス部の女子高校生達も、S2-3間の椎間板が詰まっている子が多いですね。
特に中学でハードにやっていた子ほどそうです。
逆に男子ではそう多くはありません。
S3神経が詰まっていたとしても、どちらか片方というケースがほとんどで、それはほとんど「座り癖」によるものです。

この違いは一体どこから来るのでしょう?

やはり、女子特有の「生理」にあると思います。
特に生理中に無理をした場合、こういう傾向が強い。
うちに来られている女性とかに話を聞いても、運動部にいた子ほど強い生理痛とかに悩まされていた覚えがあると話されています。

また、運動をしていると血行が良くなって「冷え症」なんてならない筈と思われているかも知れませんが、案外下半身の冷えに悩まされている運動部の女子は多いのです。
反対に帰宅部の子はそれほどでもない。

それと、パフォーマンス的に見られる傾向は、運動をしている割には「腹筋トレーニングをさせると弱い」という点。
これは簡単に説明できます。
S3神経は恥骨周辺の皮膚を神経支配しています。
という事は、その内部の組織にも影響を及ぼしています。
4つある腹筋群のうち、腹直筋と外腹斜筋は恥骨に繋がっています。
という訳で、この2つの筋肉の筋機能が低下しているのです。
また外腹斜筋が機能低下しているので、鼠蹊部(そけいぶ)も詰まりやすくなっています。

では、何故か?
以前どこかで生理中は体中の靭帯が弛むというのを読んだので、調べてみました。
それも一理あって、ひどい捻挫をした訳でもないのに足首がグラグラの女子も理由が判ります。
しかし、それよりも「なるほどな!」と感じたのが、生理前に「リラキシン」という物質が分泌されるという点。
この「リラキシン」が分泌されると、体中の靭帯が弛むのもありますが一番大きな作用は「恥骨結合」を弛める働きをするという事。

本当に私見ですが、これが物凄く関係していると思います。
仙骨がしっかり形成されてからだと影響は少なくなると考えられるのですが、まだ仙骨が形成途上の段階で生理中に恥骨結合が弛んでいる状態でハードな運動をすると、どうしてもそのあたりの椎間板が詰まってしまう気がします。

ただ、仙骨は30代前半までゆっくり形成されていくので、完全な形になった時にこの悩みから解放される女性もおられるような気がします。
それでも結構学生時代は皆さん苦労されているようです。

私のやっている、S2-3間の詰りを取る方法でかなりこの悩みから解放されますが、ベストなのは中高時代、特に中学時代ハードな部活をするとしても、「生理中は控える」事ではないでしょうか。
元々生理が重い女子なら休むでしょうが、案外生理が軽い子が楽観視してやってしまう事も多いような気がします。
それと男子と一緒に部活をしていたら、「生理日がばれてしまう」というのもあるのかも知れません。
しかし、こういう事で冷やかすような事がないように指導者がしっかり「生来君達の子供を産んでくれる為だ」みたいな事を指導してあげなければならないと思います。
これこそが本当の『性教育』ではないでしょうか。

発展途上の身体ですからいろいろあるでしょうが、高校生や大学生の女子を診ていて以上のような私見を持つに至りました。
勿論エビデンスはありません、機会があれば録ってみたいとは思います。

中高生の女子を指導している皆さんに一読していただく事があれば幸いです。


楽水庵








「この違いが判らなければ止めた方が良い」

こんにちは、楽水庵です。

先日来院した中学生の広背筋をチェックしていた時、明らかに左右で筋出力が違うのに当の本人はあまり気付いていませんでした。
野球の強豪校に行って甲子園を目指している子なのに。

だから、ハッキリ言いました。
「この違いを感じる事がなければ、野球を辞めた方が良い」と。

冷たい言い方かも知れませんが、そうでないと結局は潰れてしまうからです。
強豪高校は内部競争が非常に激しい。
だから、指導者にとって選手達は「使い捨て」なのです。

うちにも野球の強豪校でやっていた現役・OBの方々が来ていました。
その人達が口を揃えて言うのは、少しでも練習中に痛い素振りを見せると指導者は途端に激怒する点です。
特に目に見える捻挫や骨折等の傷害以外で痛みが出ている場合がそうです。
『痛みを訴える奴は要らない』のです。

まあ、全てのチームがそうだとは言い切れませんが、こういう処は結構多いでしょう。

では、そういう処で生き残るにはどうすれば良いか?
もう、自分の感覚を研ぎ澄ますしかないでしょう。
「あ、今日の自分はここが調子悪いな」とかを感じて早目早目に解決していかないと、ドンドン状態が悪化する場合がほとんどです。

その調子が良くない場合ですが、必ずしも痛みを伴うとは限りません。
というか、痛みを伴っている場合は残念ながら最終局面なのです。
ほとんどの場合が、何となくいつもの力が出ない、もう一つ調子が上がらない等ぐらいの自覚しかありません。

これさえ気付かないのなら、本当にチャンピオンスポーツは目指さない方が良いでしょう。

どの競技でもトップアスリートの感覚とは非常に研ぎ澄まされたものがほとんどです。
そういった方々の言葉は、例え日本語で話していてもどこか外国語を聞いているような自分達とは縁遠い言葉として聞こえてきます。
実際彼らの言葉に実感するのは、己がその域に近づかないと無理でしょう。

もちろん、先天的な才能というのもあるでしょうが、やはりトップアスリートはその感覚を取得する為に物凄い練習・トレーニングをしています。

もちろんトップアスリートといえど故障はしますが、それでも彼ら・彼女らは自分の身体が今どうなっているのかを把握する能力が発展途上の選手達よりも格段に上だと感じます。
だからこそ、そこまで登り詰めたのです。

発展途上の選手はまずそういう感覚を磨いて、自分のコンディションを常に良好にしておかなければ上は目指せません。
「劣悪な環境・こんな酷い怪我に打ち勝って気力で勝利を手にした」みたいなのは、スポーツをハッキリ言って判っていないメディアがお気軽に「浪花節」で読者・視聴者を感動させようとしているだけなのを理解しておく必要があります。

といって、何もかも環境が万全でやれる選手などほとんどいないでしょう。
でも、その中で自分を取り巻く環境を整えていく必要があります。
その一つが自分の現状をしっかり把握できているかどうかなのです。

ストレッチング等はしていると思いますが、こういう面での選手教育はまだまだでしょう。

折角ご縁ができたし、施術の途中からは私の言っている意味を理解して感覚を磨こうとしていたこの中学生には夢を叶えてもらいたいですね。


楽水庵







太腿前面の張り、「よく張っているね~」だけでは無責任やろ!

こんにちは、楽水庵です。

今日夕方予約の女性がお仕事の残業で日程変更になり暇してた時に電話があり、太腿の前がずっと痛くて困っている中学生男子を診る事に。
リトルリーグで硬式野球をしているそうです。

3ヶ月ほど前から右太腿の前面が物凄く張り、痛くて堪らない様子。
その間整形外科に行ったり、ほぼ1ヶ月間接骨院に通い詰めたそうですが効果は無。
MRIを撮ろうかと考えた矢先、ネットでうちを見つけて電話して来られたという次第。

まず仰向けに寝てもらい右下肢をチェックしたところ、想像通り右の外側広筋や前脛骨筋の張りが左のそれらと比べ強い。
これは、首、胸鎖乳突筋の張りから来ているものです。
胸鎖乳突筋のテープを貼ると、それらの張りがかなり消えました。

これでこの首の不具合はどこから?と考えた時に、以前倒立前転を失敗し首を傷めた事があったとの事。
おそらくそれが関係しているのでしょう。
今まで他所で首をチェックしてもらった?と聞いたら全くなかったそうです。

胸鎖乳突筋テープで状態は少し改善したものの、問題はまだまだ残っていました。
左のC3も良くなく、このお蔭で右のL3神経の流れが阻害されていたので、大腿直筋・大殿筋・梨状筋の筋機能が著しく低下。
これでは、不具合が無い方が奇跡です。
左C3テープに右小殿筋テープ、それに大腰筋・腰方形筋に影響を与えてるL1神経も詰まっていたのでテーピング。
そして、これは若い子お決まりの「ひらめ筋」。
ついでに開帳足だったので、足底アーチも貼っておきました。

スッカリ楽になった模様で、できなかった「うんこ座り」もスッとできるようになりました。

しかし、ほぼ1ヶ月間接骨院に通い詰めている間に、「何と言われてたの?」と聞くと、「ただ、よく張っているね、てだけです」と。
無責任ですし、正直プロ意識があるのかどうか疑いますね。

楽水庵

「足し算」ばかりで「引き算」できない指導者やトレーナーは要らない!

こんにちは、楽水庵です。

選手のトレーニングはもちろん大事です。
適切に鍛えてポテンシャルを上げていかなければ勝利は目指せません。

ただ、その時に忘れてほしくないのはトレーニングにおけるパフォーマンス、それを表面的に捉えるだけで終わっていないかどうか、という事です。
そして、それだけの判断でその選手のパフォーマンスを向上させる為にメニューを課していないか、です。

これは勿論「良かれ」と思っての事でしょうが、却ってその選手を壊してしまう危険があるからです。

例えば、S3という仙椎3番から出ている神経があります。
これが座り癖とかでその神経の走行している上の皮膚の動きが悪いだけで詰まってしまいます。
S3神経は恥骨周辺の、もっと具体的に言えば性器辺りの皮膚を神経支配しています。
ただ、皮膚の神経支配だけでは収まらず、皮膚・浅筋膜の動きが悪くなれば当然奥にある筋肉や臓器の働きも鈍くなるのです。
うちにも生理痛が重い状態で来られる女性がおられますが、S3神経を刺激すれば皆さん症状が物凄く軽くなります。

アスリートにとって重要なのは、S3神経が詰まると外腹斜筋と腹直筋が機能低下してしまう事です。
腹直筋などはクランチをさせると詰まっている側の起き上がりが遅れます。
外腹斜筋などもそうなのですが、これは気を付けないと反対側の内腹斜筋も協調して働いているのでちゃんとテストしないと判り辛いかも知れません。

この状態の選手のメニューを皆さんはどう判断されますか?
一番最悪なのは、「お前は腹筋が弱いからもっと腹筋のトレーニングをしろ」でしょうね。
状態が悪いので腹筋が働かなくなっているのも関わらずに。

これで腹筋トレーニングを余計に課せられた選手は、一生懸命メニューをこなそうとしますが、如何せん腹筋が効かないので何とかしようといろんな他の筋肉を無意識に使う「代償行為」をしてしまうのです。
それで余計にいろんな処を傷めてしまう危険性が増大します。

これがタイトルの「足し算」の思考なのです。
では、「引き算」の思考とは何かといえば、その腹筋が働かない原因をしっかり突き止め処置をして、その上でトレーニングをさせる事です。

これで選手のパフォーマンスは段違いに上がりますし、故障しにくくなります。
こういう事が非常に大事なのです。


もう一つ、球技をやっている女子高生のケースです。

彼女に限らず今の若い人達は非常に「ひらめ筋」が弱いですね。
我々の時代のように和式トイレなどほとんど使った事がないので、日常生活で「しゃがむ」動作がないので鍛えられる事がないからです。
そして、「ひらめ筋」が弱い人は仙腸関節の動きが良くない。
これは筋膜的に繋がっているからです。

そういう訳で、彼女にひらめ筋テープを貼ってトレーニングをさせました。
ひらめ筋のトレーニングで最適なのは、「空気椅子での踵上げ」だと思っています。
「カーフレイズ」は腓腹筋や足底筋には有効ですが、膝関節を伸展させて行う為にひらめ筋には効きません。

それをさせると、左の脚がプルプルと震えます。
力が入りにくいからです。
この時点では、下腿部しかまだチェックしていなかったので、首をチェックすると左の「胸鎖乳突筋」の状態が良くありませんでした。
少し前に向う脛や大腿前部やや外側の痺れを訴えておられた女性の事を書きました(リンク)
痺れも筋低下も原因は同じです。

さて、この女子高生の胸鎖乳突筋をテーピングで調整し、もう一度「空気椅子での踵上げ」をさせてみると左脚の震えは大幅に解消しました。

翻ってこれを先ほどの「足し算」的思考で指導してしまうと、果たしてどうなるでしょう?
「お前は左が弱いから、特に左を鍛えろ」でしょうね。
しかし、それでは本当に鍛える事にはならないのです。
「引き算」で悪要因を取り除いてあげてからトレーニングさせるべきなのです。

しかし、こういう事を理解して実践している指導者やトレーナーが果たしてどれぐらいの割合で存在しているのか、現状を見る限りあまりいないような気がします。
表面的に見えることなど、別にその道のプロでなくても目の鋭い人なら判ります。
大事なのは、その現象がなぜ起こるかを判断し、適切な処置をする事なのです。

だから、「足し算」しかできない指導者やトレーナーは選手を壊してしまうリスクが大きいから要らないのです。

楽水庵












妊娠8週目でツワリのきつい女性に

こんにちは、楽水庵です。

常連の30代女性が2人目を懐妊されました。
元々ツワリがきつい方なのですが、(男なのでよく判りませんが)今が一番きついかもとの事です。

残念ながら数年前に流産されたのですが、その時もツワリがひどかったのでテーピングで緩和しました。
今回も前の事があるのでやってみました。

ツワリで一番関わりのある臓器は、やはり『胃』でしょう。
特に噴門という胃の入口付近の動きが良くないと、吐き気を催します。
今回も胃の筋膜を動かして、一番気持ちが良い形でテーピングしてみました。

20170409tomoko.jpg

ですから、毎回この通りの貼り方ではないかも知れません。
その都度その都度筋膜の動きは異なっているかも知れないからです。

ただ、ツワリで苦しんでおられる妊婦さん達が、このような割と簡単なテーピングでその苦しさからかなり解放されるのなら、それは素晴らしい事だと思います。

楽水庵


無理に姿勢を良くしようとしても・・・

こんにちは、京都府長岡京市の楽水庵です。

この間来られた女子大生ですが、小さい頃からの猫背で悩んでいました。

猫背には2通りあると思っています。

まず脊柱の腰椎から頚椎に掛けての 前弯→後湾→前弯、というラインができていない場合。
これは、結果的に頸椎の後湾を招き、所謂「ストレートネック」を招きます。

ストレートネックで悩んでおられる多くの方に見受けられる特徴は、「顎が上がっている」点です。
少し(もちろん引き過ぎは良くありませんが)顎を引くだけでも腰椎が立ってくる(つまり前弯してくる)ので姿勢は良くなります。

それと腹筋群の一番インナーである「腹横筋」が弱いというのもあります。
ここにアプローチするだけで結構姿勢が良くなる方が圧倒的に多いですね。

そしてもう一つは、肩甲骨が外転、つまり拡がってしまい結果的に胸椎の後弯が作れないもの。
ここがしっかりアーチを作れるかどうかで、人は若く見られるか否か判断される気がします。
「横のアーチ」と呼んでも良いでしょう。

この2つがしっかりできていないと、無理に姿勢を良くしようと思っても一時的には可能でも持続する事ができません。

さて、その女子大生に戻りますが、一度自身で良い姿勢を作ってもらいましたが、そうすると非常に腰にストレスが溜まりました。
腰椎4-5番間の詰りがあり、この為にいくら頭では判っていても良い姿勢を取り辛いのです。
それに、机に向かっている時間が長い為に、首や肩甲骨周りの緊張が強くありました。

それらを一つ一つ解消していくと、自然に姿勢が良くなっていきました。
また、それが苦しくないとの事でした。

一箇所ではなく総合的なバランス調整で対応していくべきだと確信しています。


楽水庵



「ゴルフの翌日腰の真ん中が痛くなった」ひらめ筋と仙腸関節

こんにちは、楽水庵です。

常連の男性ですが、前回ゴルフでコースを回った翌日朝に腰の真ん中が結構痛かったそうです。
お越しになる直前ににコースを回った時はそうでもなかったとの事。

では、何故そうなのか?

この方はひらめ筋の機能が低下されていました。
ひらめ筋が弱ると仙腸関節の動きを悪くします。
ですから、私は仙腸関節の調整をする際はひらめ筋の筋膜滑走を良くする事も行います。

ひらめ筋は「抗重力筋」の一つで、意識しなくても普通に立っているとかなり使われています。
「立ちっぱなし」で腰が痛くなる原因の一つにひらめ筋も関係しています。

話を戻して、この男性がゴルフをした後に腰が痛くなったりならなかったりしたのは何故なのか?
それはコースのレイアウトだと推測しました。
おそらく直後に腰が痛くなったコースはアンジュレーション(起伏)が激しかったのでは、と聞いてみるとまさしくその通り。
その為にひらめ筋に余計負担が掛かったのでしょう。
直近のコースはそれほどアンジュレーションがきつくなかったので、症状が出なかったのでしょう。

勿論統計を取っている訳ではありませんが、ひらめ筋の弱い方は仙腸関節の動きが良くないケースが多いと思われます。
逆にひらめ筋を機能強化すれば、腰痛を結構防げる気がします。

しゃがんだりする時もひらめ筋はかなり重要な役割を果たします。
いわゆる「うんこ座り(ヤンキー座りともいう)」をする際にひらめ筋が十分緩まないと、ちゃんとしゃがめないのです。

トイレも洋式が当たり前になった現在では、昔のように日常生活の中で自然にひらめ筋が鍛えられる事はありません。
まあ、うんこ座りもひらめ筋のストレッチングでは効果的ですから、少し取り入れてみるのも手だと思います。


楽水庵








1

« 京都のスポーツ整体院 楽水庵のコンディショニングブログ: 2017年3月 | メインページ | アーカイブ | 京都のスポーツ整体院 楽水庵のコンディショニングブログ: 2017年5月 »

このページのトップへ