楽水庵ブログ

難度のきついトレーニングは、ちゃんと条件を整えてから

こんにちは、楽水庵です。

この間来た球技をやっている男子学生です。
主訴は右肩と右膝の痛みです。

肩の痛みの主たる原因は、小円筋の機能低下と肩甲上腕靭帯が弛みでした。
これは野球・テニス等の腕をよく振り下ろす競技の場合は効き腕に、そして興味深いのはラクロスの場合は逆の腕に起こりやすい症状です。
ラクロスの場合、右利きの場合クロスを左に振り上げて下ろす動作がある為です。

これを痛いまま放置しておくと、特にピッチャーの場合「手投げ」になってしまう(胸の筋肉と腕の筋肉のリンクが切れている為)ので肘も傷めてしまう事になります。
案外プロのピッチャーで肘の靭帯を傷めてトミー・ジョン手術を受けた人達の中で、肘を傷める前に肩甲上腕靭帯を傷めて「手投げ」になってしまっていた人は結構いる気がしますね。

さて、今回は「肩」ではなく「膝」がメインテーマになります。
この高校生の膝痛ですが、しゃがんだら痛いとの事。
膝窩筋・大殿筋・梨状筋等の機能も低下していましたが、一番の問題は膝関節周りの靭帯等が弛んでしまっていた事です。

半月板・前十字靭帯も状態が良くなかったので、テーピング。
その状態で深く屈伸してもらったら、伸ばしかけた時にまだ痛みが出ました。
もう一度内転・外転ストレステストに触診をしたら側副靱帯に弛みがありました。
この靭帯の弛みがある為に膝を伸ばそうとした時、筋肉が正常に機能できずに結果痛みが出るのでした。
早速、側副靱帯に対するテーピングをしたところ痛みは解消しました。

それはそれで良いのですが、では何故こういう障害を発症したのでしょうか?
どうやら仲間を背負ってのスクワットが原因のようです。

私自身はバーベルでのスクワットばかりやっていたので、あまりこのスクワットをやった記憶はありません。
ただ、私の若い頃はよく他のクラブでやってましたね。
適切にやれば筋力も付きバランス感覚も良くなると思います。

ただ、今の若い子は足元が危うい。
足のアーチがちゃんとできていない子が多く、足趾でしっかり「地面を掴む」事ができません。
この状態でそういうスクワットをすれば、足元が不安定な分それだけ膝に負担が掛かります。

ましてや、最近の子は我々の子供時代と異なり普段の生活で「しゃがむ」という習慣がありません。
そういう子達にいきなりハードなスクワットは良い結果をもたらしません。
まず、足元を整えるようにテーピング等を行い鍛えさせ、同時にしっかり「しゃがむ」事ができるように教える事から始めるべきでしょう。
それから高度なトレーニングをさせるべきです。

指導者はどうしても自分達が若い頃にやった事を今の若い子達も普通にできるだろうと思いがちです。
しかし、先ほども書いたように生活様式の変化でハッキリ言って「退化」している機能も多々あるのです。
単に体格等で判断するのは危険です。

楽水庵







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