楽水庵ブログ

「右脚に力が入らない」ヘルニアの学生 多分枕のせい

こんにちは、楽水庵です。

今朝、昨年腰椎のヘルニアを発症し再起を掛けて頑張っている男子学生が来ました。
心なしかいつもより暗い表情で、「先週水曜日から右足に力が入らなくなってしまった。僕本当に良くなっているんでしょうか?」と聞いてきました。

その話を聞いて、「あ、また首を傷めたな」と感じチェックすると案の定右胸鎖乳突筋に左の斜角筋を傷めていました。
右の胸鎖乳突筋は左に首を曲げる際に収縮します。
左の斜角筋は首を左に傾ける際に収縮します。

という事は・・・彼は首に右を曲げている状態が続き、上の筋肉がオーバーストレッチされたのです。

では、何故首を傷めると脚に力が入らなくなるのか?
以前のブログでも書きましたが、右の胸鎖乳突筋を傷めると浅筋膜の関係で同側の大腿外側から脛の掛けて筋肉が硬直します。
私は触診をして左右の前脛骨筋のテストをしますが、こういう場合明らかに右の前脛骨筋に陽性が出ます。

では、左の斜角筋はというと、
後斜角筋は私の知っている限り下半身には影響を与えないようです。
どちらかというとこの筋肉が機能低下するとC8神経の流れを阻害し、左上肢の尺側(小指側)に影響し特に小指の感覚が鈍い・小指に力が入らないという症状が出ます。
前斜角筋は下半身に影響を与えますが、この筋肉は同側、つまり左の内腹斜筋や腸骨筋に影響を与える事が多い。

残る中斜角筋、これが曲者です。
この中斜角筋の下に走っているC3神経が反対側(この場合は右)のL3神経の走行と密接な繋がっています。
つまり、左のC3神経が圧迫されるともれなく右L3神経も自動的に圧迫された形になるのです。
そのL3神経と関わりのある筋肉が、大殿筋・梨状筋・大腿直筋等です。

小殿筋も関わりがありますが、これはC3神経を通しただけだは回復できないので別にケアする必要があります。

本当に左のC3神経に小さなπテープを貼るだけで、右脚に力が入るようになります。
もちろん、細かい調整は別に必要ですが・・・

ちょっと図にまとめてみました。

20170503zukai.jpg


枕が低すぎて右に首が回り過ぎた状態で寝ていると、ざっとこのような症状が出るリスクが高くなります。

この傾向を彼に伝えると納得したようで、「合宿所の枕が低過ぎるので、家に帰ってマイ枕を持っていきます。」と言っていました。
その方が良いと思います。
確かにヘルニアになった個所はウィークポイントです。
いくら改善してきたといえど他の要因で具合が悪くなると、またそこに負担が掛かってしまいます。

彼の後にその日は3人来られましたが、皆さん左右の違いこそあれ同じ症状が見られました。
やはり枕が合っていないのでしょう。
またうつ伏せで寝る人は特に要注意、絶対に首がどちらかに向きますから。

しかし、ジャストフィットの枕は結構見つけにくいものですね。
身体全体の事を考えるとある程度の高さは必要ですが、低いあるいは枕無(かっての自分もそうでした)の方が熟睡できるのなら、せめて自分の癖を把握して回す方にタオルを丸めて置いておき、首の動きに制限を掛けては如何でしょうか?

20170503makura.jpg

まあ、うつ伏せで寝る方には意味ないですけど・・・

以上こういう事でも身体の不具合を起こしますし、アスリートの場合パフォーマンスにも影響します。
しかし、ちょっとした工夫で防げますので参考にしていただければ幸いです。

楽水庵


 


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