楽水庵ブログ

「腹に力を入れると腰に響く」、やはり腹直筋の拘縮

京都と大阪の中間点、京都府長岡京市のスポーツ整体院 楽水庵です。

先月のブログで、腹筋の使い方のイメージを間違って腹直筋の拘縮を起こしてしまい、椎間板の詰りも相まって重い腰痛を起こしていた大学生の事を書きました(リンク参照)。

こういう症状は高校生や大学生の男子に多く、女子にはあまり見られません。
何故かはもう一つ判りません、男女の構造上の違いがあるのかも知れませんね。

男性でも中年以上もあまり見掛けないのですが、先週そういう症状の40代男性が来られました。

昨年の春に3回ほど来られて、「最近身体が弛んできているからライ〇〇プに行こうかな」と言われていて、実際今も通われています。
身体はかなりスッキリされたのですが、ドローインを「お腹は上も下も引っ込める」とトレーナーに言われ実践していたら、普段でもお腹に力を入れると腰に響いていたそうです。

その後ある動作をした時にギックリ腰を発症し来院された次第です。

やはり腹直筋の拘縮が見られました。
その直前左小胸筋の肉離れもされたようですが、それもどうやら腹直筋を過度に締めていたのが原因のように思われます。

どうもドローインという言葉が独り歩きしているような気がしてなりません。
本来は腹直筋ではなく、腹横筋を収縮させてお腹を引っ込めるのですが、その場合は丹田は腹圧が掛かっていなければなりません。
歌手や吹奏楽者がよくいう「腹圧」です。
彼らが腹圧を掛ける時にお腹全体に圧を掛けているのではないのです。
下腹(つまり、丹田)にだけ圧を掛けています。

しかし、残念ながらドローインを丁寧に教えてくれる、それとその後もしっかりできているかチェックしてくれるトレーナーが多いように思われます。
それともトレーナー自体が間違ったイメージで覚えていて、その間違ったイメージのまま教えているか、でしょう。
これは一種の「手段の目的化」です。
運動中腹横筋を常に収縮させ体幹を安定させるのが目的なのに、「お腹を引っ込める」のが目的になってしまっている感があります。
「お腹を引っ込める」為に、アウターマッスルで普段はリラックスしていなければいけない腹直筋を常に収縮させてしまうのです。
いくら腹直筋を鍛えても本来腹直筋には持久力はありませんので、常に締めていると疲れて機能低下を起こしてしまいます。
これが「拘縮」です。

腹直筋の拘縮を起こしている人は、腹直筋の上の皮膚・筋膜を上に誘導してあげると楽になります。
筋機能を「抑制」させてあげるのです。
それだけでも、腰が随分と楽になる方もおられます。

何故か?
腰や背中の筋肉を収縮させる時に、腹直筋などの身体の前側の筋肉が収縮していると後ろ側の筋肉は動かすのにそれだけ負担が掛かります。
いわば、「ブレーキを踏んだままアクセルを踏む」状態だからです。

ドローインという言葉が結構普及している昨今、案外こういう事で腰痛を発症する方が増えているのでは、と危惧してなりません。

楽水庵






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