楽水庵ブログ

神経系のトレーニングが必要、ただ大化けするかも

常連の女性が浪人生の息子さんを連れて来られた。

センター試験が終わり、私学の入試や国公立の2次試験の前に、頭痛等の身体の不調を緩和させたいとの事。

母親曰く、「子供の時から運動が苦手、でも馬鹿力がある」
運動が嫌いなので中高と運動部に入りたくないのに無理やり母親がハンドボール部に入れたらしい。

この前も、センター試験が終わったので少しジョギングしたらしいが、少し走るといつでもそうだが疲れ果ててしまう。

ただ、これはハッキリ言って幼児期に神経系やイメージトレーニングをしてやらなかった周りの大人のせい。

走って直ぐに疲れるのは、腹直筋に力が入り過ぎているから。
ボート競技でも腰痛で悩ませれている選手の中にそういう症状の子はいる。

腹直筋はいつも固くしているのではない、必要な時に収縮するだけで良い。
腹圧を高めるのは、奥にある「腹横筋」。
お腹は柔らかく使わなければいけない。
お腹を固くしていると、上半身と下半身の連携がスムーズにいかない。
だから、ロボットみたいな動きになる。

この現象を見て、「動きが固い、ロボットみたい」と指摘する指導者がいれば、その人は指導者としては三流以下。
上っ面しか見ていない。
この時に「肩の力を抜け」でも二流。
本当の指導者なら、「お腹の無駄な力を抜け」とアドバイスする必要がある。

自分も昔テニススクールに通っていた頃、一時お腹は常に固くしていなければいけないと勘違いしてやっていた時期があったが、その時やはり「動きがロボットみたい」とコーチに笑われただけだった。
私憤もあるが、このコーチは(ましてやお金を取って教えているのだから)プロとして失格だろう。

先ほどの青年の話に戻る。
走って直ぐに疲れるのは、上に書いたようにお腹をリラックスさせれば解決するだろう。
足の形は、今の若い子の中ではかなり横アーチがしっかりしていて良い形。
少し土踏まずが低いが、横アーチがあるのでそれほど問題はない。
以前行った事のある接骨院で「速く走れそうな足の形」と言われたそうだが、残念ながらその他の問題でそうはいかなかった。

そして、最大の問題は「下半身に軸を作り上半身を捻って、下半身のパワーで上半身の捻れを復元しパワーを生み出す」事を脳が学習していない点。
これは筋機能の問題ではなく、神経系の問題。
できる子は教えなくてもできるだろうが、イメージが掴めない子はいつまでもできない。
ハンドボールは何とかやれたのは、ハンドボールはほとんどスナップだけで投げられるから。
他の球技では難しかっただろう。

所謂、「貯め」ができないのだ。
これをシッカリ判るように教えてあげるのが大事なのだが・・・
本人曰く、保育園のダンスでもそれができなくて、教えてあげねばならない母親がゲラゲラ笑っているだけ(これは母親を叱ったが)。
この幼児体験が彼をドンドンと運動嫌いにしていったのだ。

自分がアドバイスして彼もようやく理解できた模様。
元々神戸大学を受けようとしている頭の良い子なので、理解できれば後は身体が覚えるまで反復練習すれば良いだけ。
サイドステップがお奨めなので、毎日受験勉強の合間にするように言っておいた。
彼にとって一番必要だったのは、まず頭で理解させてそれを身体に覚えさす「神経系」のトレーニングだった。

「捻れ」「貯め」が作れなければ、全身のパワーは発生しない。
これが、彼の個々の筋力は強いのだが身体全体から力強さが生まれない最大の要因。

自分もどちらかというと「鈍臭い子」だったので、彼の事は手に取るように判る。

残念ながら、まだまだ日本の体育教育はそういう点で指導不足だとヒシヒシ感じる。
言ってみれば体育教育だけは、できる子だけを育てる「エリート教育」。
現象だけ指摘するのは、ハッキリ言って素人でもできるんです。
プロ(教員もそう)なら何でそういう現象が起こるのかを考察して、適切なアドバイスをしなければプロと言えない。

彼の話に戻ったら、多分身体の使い方を覚えても球技では後れを取っているのは間違いない。
神戸大に受かったらボートをやってみるかと唆すと、「いいですね」と答えていた。
是非、神戸大でボートをやってほしいものだ。
身体の使い方を覚えれば大化けし、滅茶苦茶強い選手になる可能性も大。
今後もいろいろとサポートしてあげたい。







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