楽水庵ブログ

ミレーの「落ち葉拾い」

画家のミレーの有名な作品に「落ち葉拾い」があります。
3人の婦人が農地で落ち葉を拾っている光景を描いたものです。

皆さんはこの絵を見た時に何となく違和感を感じませんか?
これは日本人が見た時には違和感があって、逆に西洋の人が見ても違和感を感じないかも知れません。

私も昔から少し「何だろう:?」と思っていたのですが、この仕事をしてから段々と判りました。
それはズバリ、「腰の屈め方」です!

あの絵に描かれている女性達はあまり膝を落とさずに足元の落ち葉を拾っていますね。
我々だとああいった形で拾いますか?
ほとんどの方が膝を落とし、しゃがみながら拾いますね。


これが西洋と東洋、ではなく狩猟民族と農耕民族の違いなのではないでしょうか?

今回は股関節周りだけの話にします。

つまり、大腰筋や腸骨筋、梨状筋などの股関節を構成しているインナーマッスルが狩猟民族の場合はインナーというよりもアウター的な使い方をしていると思われるのです。
彼らの祖先は獲物を獲らなければ餓死してしまう運命にあったのです。

という事は、ほんの至近距離で獲物に追いつくスピードが求められたのでしょう。
その為に股関節のインナーマッスルにアウター的な機能を淘汰の過程で変化させていったのだと勝手に解釈しています。

逆にアウターですから、持久的な動きには弱い。
だから、今でもそうですが西洋人の方々は「中腰」の姿勢を保つ事が結構難しいのです。


さて、我々日本人に代表される農耕民族の末裔。
西洋人とは反対に「田植え」に代表される中腰の姿勢、これを長時間する事が得意です(最近では様変わりしてますが・・・)
また、歌舞伎のような伝統芸能でも中腰の姿勢が非常に多い。
だから、歌舞伎役者の方は高齢でも足腰のしっかりしておられるし艶福家でもあられます(まあ、余計なお世話ですね)。

また面白い事にコサックダンスやアイリッシュダンスなどスクワットスタイルで踊るものがありますが、あれは日頃の自分達の弱点を補う為に開発された、いわば「ラジオ体操」的なものかも知れません。

ですから、そういう身体を構成しているものの機能が異なるのに、向こうのやっているトレーニングを盲信してしまうのは如何なものか、と最近思うようになってきています。
大腰筋や梨状筋の筋肥大を我々は追い求めるべきではないと感じます。
特に、梨状筋の筋肥大を図ると、待っているのは「坐骨神経痛」です。

やはり民族特性に基づいたトレーニング方法を確立していく必要があるのでしょう。

ただ、最近の日本人も見た目だけ西洋風になってしまっているので、元からあった「中腰が得意」というのも薄れてきているのも事実です。
結局何とかしないと、どっちつかずで何も取り柄のない、だから世界とスポーツの世界で戦う事のできなくなるかも知れません。




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