楽水庵ブログ

「出尻と反り腰」 youtube の補足

先日 youtube において「出尻(でっちり)」と「反り腰」の傾向と対策みたいなものをアップしました。

動画はこちらからどうぞ。

今回は、もう少しそれについて考えてみたいと思います。

その前に下の脊柱の図をご覧ください。
脊柱のアーチは普通「腰椎前湾・胸椎後湾・頸椎前湾」が理想のアーチです。
このアーチが崩れると頸椎ですと、所謂「ストレートネック」とかの症状が出ます。

ただ、ストレートネックの方は大体において整形外科で頸椎のみのレントゲン写真等で判断されてしまっている事が多く、また頸椎のアーチだけ改善すれば良いみたいなお考えの方が多いのですが、実は下のアーチから崩れているのがほとんどです。
ですから、腰のアーチから改善しなければストレートネックは良くなりません。
首の施術だけで良くなる事(一時的にはあったとしても)はないと思った方が良いでしょう。

さて、話は脊柱に戻って。
この中でつい見落としてしまいがちなのが「仙骨」のアーチ。
ご存知の方も多いとは思いますが、「仙骨」というのは産まれてきた時にはありません。
子供の頃は頸椎・胸椎・腰椎と同様「仙椎」なのです。
それが大人になる頃(高校時分と言われている)に一つの骨に癒着し、「仙骨」になります。
ですから、大人になっても一つの仙骨にならずに分離されている方もたまにおられるようです。

何故癒着し「仙骨」になるのか?
よく判りませんが、時期を考えると生殖できる年頃なので、特に女性の場合は子宮を守る(まあ男性も生殖器を守る)為に自然の摂理で一つの骨に癒着するのだとも考えられますね。

そして、大事なのは「仙骨」のアーチ。
見ていただくと後湾していますね。

という事は、上に書いたように、「腰椎前湾・胸椎後湾・頸椎前湾」だけでなく、下から「仙骨後湾・腰椎前湾・胸椎後湾・頸椎前湾」のアーチまで考えなければいけないのでしょう。

そう考えると、「出尻」と「反り腰」について説明しやすくなります。

まず「反り腰」から。
また下に下手な(^_^;)図を載せていますが、「反り腰」は左側ですね。
この場合は仙骨が前湾になります。
「仙骨前湾・腰椎前湾・胸椎後湾・頸椎前湾」状態です。

だから、この前湾している仙骨を後湾させなければ「反り腰」は改善されません。

そして、何故仙骨が前湾してしまうか?
youtube では腹横筋の事だけ説明しました。
確かに腹横筋が弱っていると腹式呼吸ができず下腹部が安定しません。
妊娠でお腹が大きくなっておられる方はこういう状態になって腰痛を起こされる方もおられます。

後、大腰筋や腸骨筋、所謂「腸腰筋」の機能低下も考えられます。
可能性としては、大臀筋の拘縮、つまり大臀筋が収縮したままで反り腰になるというのも考えられますが、大臀筋というのはアウターマッスルでいつまでも収縮してられませんし、まずその場合反り腰になるよりも猛烈な腰痛になると考えられます。可能性は低いでしょう。

加えて、今日来院された方で判ったのですが、下腿部の「ひらめ筋」、この機能が低下するとやはり反り腰になりやすいようです。
ひらめ筋は「抗重力筋」または「姿勢保持筋」とも呼ばれ、立位の場合常に働いています。

ともすれば膝が重心が前に行き過ぎるのをこのひらめ筋が働いて後ろに戻してくれるのですが、ひらめ筋の機能が低下すると膝が前に倒れてしまいます。
そうするとバランスを取る為に仙骨も前湾し、リンボーダンス(古いか・・・)のような体勢になってしまいます。
今日来られた方も、立っていると段々腰が反ってくるとの自覚があるとの事です。
若干「腹横筋」も弱いので、その強化と共に「ひらめ筋」も鍛えていただくと反り腰は解消されていく筈です。

次に、「出尻」です。
この場合仙骨は後湾していますが、その後湾の度合いが強過ぎる事から生じます。
少々の出尻は姿勢が良く見えますが、実は仙骨の後湾が強過ぎるので、一番上の頸椎が「後湾」にならないとバランスが取れない、頸椎前湾のまま正面を向くと地面(床)しか見えないので、自然正面を見ようとすると頸椎を後湾させなければなりません。
その癖が付いてしまうと、簡単に「ストレートネック」の出来上がりです。

ですから、ストレートネックの方のほとんどが出尻状態ですので、その原因である「仙骨の後湾し過ぎ」を修正しなければいけません。

この場合は案外簡単です。
こういう状態の方は中臀筋の機能が低下している事が非常に多く、中臀筋の収縮を良くすれば自然と仙骨は立ってきます。
次回あたりのブログで書くつもりですが、中臀筋は所謂「インナーマッスル」だと私は思っています。
だから、常に軽く収縮させておいても大丈夫なのです。
出尻を治したい方はお尻の横を軽く締めるつもりで立ってみて下さい。
かなり腰が立ってくる筈です。

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